医療・健康

手術当日の夜どうする?動物病院からの帰宅後48時間チェックリスト

「手術、無事に終わりましたよ」。

獣医さんからのその一言に、心からホッとしますよね。
でも、その安心も束の間。

愛犬・愛猫を連れてお家に帰ってきた瞬間から、今度は飼い主さんの「おうちケア」がスタートします。

「なんだか元気がないけど、大丈夫かな?」
「傷口って、こんな感じでいいの?」
「夜中に急変したらどうしよう…」

次から次へと不安が押し寄せてくるその気持ち、痛いほどよく分かります。

こんにちは。
元動物看護師で、Webライターの柴田りおです。

動物病院で8年間、たくさんの動物たちの術後ケアに携わってきました。
そして私自身も、子猫を保護した際に低体温でパニックになり、自分のケア手順でなんとか命を救った経験があります。

だからこそ、断言できます。
手術後の48時間は、愛犬・愛猫の未来を決める「回復のゴールデンタイム」です。

そして、この大切な時間を乗り切るために必要なのは、専門知識だけではありません。
飼い主さんの「大丈夫、私にはできる」という安心感です。

この記事では、元動物看護師の視点から、帰宅後48時間に「何を」「どのように」チェックすれば良いのか、具体的なリストとコツをまとめました。

この記事を読み終える頃には、あなたの不安は「自信」に変わっているはずです。
さあ、一緒に大切な家族の回復をサポートしていきましょう。

手術当日の夜にまず行うべきこと

お家に到着。
ここからが、飼い主さんの腕の見せ所です。
まずは落ち着いて、4つの基本ステップを確認しましょう。

獣医さん・看護師さんからの「宿題」を再確認しよう

退院時、病院のスタッフから術後の注意点について説明があったはずです。
「はい、はい」と聞いていたけれど、緊張で半分くらい忘れてしまった…なんてことも、よくあることですよ。

まずは、受け取った書類やメモをもう一度、じっくりと読み返しましょう。

  • お薬の時間と量:次の投薬は何時から?1回量は?
  • 食事の指示:いつから、何を、どのくらい与える?
  • 次の通院日:抜糸や消毒はいつ?
  • 病院の連絡先:夜間や緊急時の連絡先はどこ?

この「宿題」が、あなたと愛犬・愛猫を守る一番のお守りになります。

帰宅後すぐの最重要チェックポイント

お家に帰ってきた子は、まだ麻酔の影響でぼんやりしていることが多いです。
まずは、以下のポイントを優しくチェックしてあげてください。

  • 呼吸は穏やかか:スヤスヤと眠れていますか?息が荒かったり、苦しそうだったりしませんか?
  • 体は冷たすぎないか:耳や足先をそっと触ってみてください。いつもより極端に冷たい場合は、毛布を増やしてあげましょう。
  • 傷口から出血していないか:じわっと血が滲む程度なら大丈夫ですが、ポタポタと垂れるような出血はすぐに病院へ連絡が必要です。

愛犬・愛猫が安心して休める「回復部屋」の作り方

手術を頑張った子は、心も体も疲れています。
静かで快適な環境を整えてあげることが、何よりの回復薬になります。

  • 温度管理:寒すぎず、暑すぎない快適な室温を保ちましょう。夏場でも、体を冷やしすぎないようにタオルケットを一枚用意しておくと安心です。
  • 静かな場所:テレビの音や人の出入りが激しい場所は避け、静かに過ごせるケージやサークルを用意してあげましょう。
  • 優しい照明:煌々とした明かりは刺激になります。部屋の電気を少し暗くして、リラックスできる空間を作ってあげてください。

不安なのは当たり前!「いつでも頼れる」を確認しよう

「こんなことで電話していいのかな…」
そう思わないでください。

あなたのその「ちょっとした違和感」が、重大なサインである可能性もあります。
多くの動物病院は、術後の飼い主さんからの連絡を待っています。

退院時に確認した緊急連絡先を、スマホのすぐ出せる場所や冷蔵庫など、目立つ場所に貼っておきましょう。
「いざとなったら、ここに電話すればいい」
そう思えるだけで、心はぐっと軽くなりますよ。

もちろん、手術という大きなイベントの前から、こうした信頼関係を築いておくことが理想です。

例えば、もしあなたが水戸でかかりつけの動物病院をお探しなら、公式サイトで飼い主さん向けの情報発信を丁寧に行っているか、といった視点で選んでみるのも良いでしょう。

日頃から何でも相談できるホームドクターの存在が、いざという時の大きな安心感につながります。

術後24時間以内:回復を見守る大切な時間

一夜明け、少し落ち着いてきた頃でしょうか。
ここからは、体がきちんと回復に向かっているか、優しい目で見守っていきましょう。

ごはんとお水、おしっこは?「回復のサイン」の見つけ方

「食べる」「飲む」「出す」。
これは、生き物にとっての健康のバロメーターです。

  • 食事 🍚:病院の指示通りに、少量から与えてみましょう。すぐに食べなくても焦らないで。匂いを嗅がせるだけでもOKです。24時間以上何も口にしない場合は、病院に相談を。
  • 飲水 💧:新鮮なお水をいつでも飲める場所に置いてあげましょう。麻酔の影響で、自分で飲みに行けない子もいます。口元に器をそっと近づけてあげてください。
  • 排泄 🐾:術後、初めてのおしっこやうんちは回復の大きな一歩です。24時間以上まったく出ない場合は、我慢しているか、体に異常があるサインかもしれません。

「いつもと違う」に気づくための観察日記のススメ

「なんとなく元気がない」を、もう少し具体的にしてみましょう。
簡単なメモで構いません。
「おうちケア日記」をつけてみるのがおすすめです。

1. 時間を記録する
「9:00 ごはんを2口食べた」「14:00 おしっこをした」

2. 様子を記録する
「少しふらついている」「ずっと丸まって寝ている」

3. 気になったことを記録する
「体をブルブル震わせた」「呼吸が少し速い気がする」

この記録が、もし病院に連絡する際に「いつから、どんな様子か」を正確に伝えるための、最強の申し送り資料になります。

もしもの時、慌てないために。夜間病院の連絡先をチェック

日中は何ともなくても、夜になって急に様子が変わることもあります。
「夜中にパニックで検索しても、どこも繋がらない!」なんてことにならないように、事前に確認しておきましょう。

かかりつけの病院が夜間対応をしていない場合、提携している夜間救急病院があるはずです。
その病院の場所と電話番号を、必ず今日のうちに調べておきましょう。

術後24〜48時間:安定に向けたサポート

ゴールデンタイムの後半戦。
ここを乗り切れば、回復はぐっと安定期に入ります。
もうひと頑張りです!

一番こわい傷口チェック。正常な経過と危険なサイン

飼い主さんが一番ドキドキするのが、傷口のチェックですよね。
ポイントさえ押さえれば、大丈夫です。

  • 【正常なサイン】
    • 傷口の周りが少し赤い、少し腫れている
    • 透明〜薄いピンク色の液体が少量にじんでいる
  • 【危険なサイン】 ⚠️
    • 赤みや腫れがどんどんひどくなる
    • 傷口が熱を持っている
    • 黄色や緑色のドロッとした膿が出ている、嫌な臭いがする
    • 出血が止まらない、傷口が開いている

危険なサインを見つけたら、迷わず病院へ連絡してください。

お薬、飲んでくれない…を解決する3つのコツ

お薬は、痛みや感染を防ぐための大切なサポートです。
でも、なかなか飲んでくれない子もいますよね。

  1. 美味しいものに混ぜる:ウェットフードやおやつなど、大好物に混ぜ込むのが王道です。
  2. 投薬補助グッズを使う:お薬を包むゼリーやペースト状のおやつが市販されています。
  3. 最終手段は口を開ける:どうしてもダメな場合は、優しく口を開けて上顎にポンと乗せ、口を閉じて喉をさすってあげるとゴクンと飲み込んでくれます。

どうしても難しい場合は、無理せず病院に相談しましょう。
お薬の種類を変えてくれることもありますよ。

「ちょっと気になる」は電話してOK!迷ったら相談しよう

「これくらいで電話したら、迷惑かな?」
その気持ちが、一番の落とし穴です。

看護師時代、私は術後の飼い主さんからの電話を何百本と受けました。
その中で「迷惑だな」と思ったことは、一度もありません。
むしろ、「連絡してくれて、ありがとうございます!」という気持ちでした。

飼い主さんの「気になる」という直感は、どんな検査機器よりも鋭いことがあります。
どうか、その直感を信じてあげてください。
電話一本で、あなたと愛犬・愛猫の不安が解消されるなら、それ以上に価値のあることはありません。

まとめ:あなたは、もう一人じゃない

手術後の48時間、本当にお疲れ様でした。
最後に、これからの「おうちケア」を支える大切なポイントを振り返りましょう。

  • 基本ケア:安静・食事・排泄の基本を守り、安心して休める環境を整える。
  • 観察:「いつもと違う」に気づくため、優しく見守り、簡単な日記をつける。
  • 傷口チェック:「正常」と「危険」のサインを知り、冷静に判断する。
  • 連携:不安な時は一人で抱え込まず、すぐに動物病院に相談する。

手術という大きな山を乗り越えた愛犬・愛猫にとって、飼い主であるあなたの存在が、何よりの安心材料です。

大丈夫。
あなたはもう、この記事で何をすべきかを知っています。
そして、あなたの後ろには、いつでも相談に乗ってくれる獣医さんや看護師さんがいます。

あなたは、決して一人ではありません。
自信を持って、大切な家族の回復をサポートしてあげてくださいね。

この記事が、あなたの不安を少しでも和らげるお守りになれば、これほど嬉しいことはありません。

もしよろしければ、皆さんの術後ケアの体験談や工夫を、SNSで「#おうちケア奮闘記」のハッシュタグをつけて教えてください。
あなたの経験が、次に不安を抱える誰かの力になるはずです。